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築地施療病院の生涯
磯貝 元著
46版 202頁 \1,300
ISBN4-906472-68-0

現在築地にがんのメッカといわれる「国立がんセンター」がある。その地には、戦前、民主化のいまも見ることが出来ない“無料で診療をおこなっていた「築地施療病院」”があった。その病院の設立から廃止されるまでの歴史を史実に基づいて、二人の主人公のもとに展開したひとつの歴史小説である。今の若い医師に読んでもらいたい一冊である。

※本書は好評につき完売いたしました。

著者紹介:
磯貝 元(いそがい はじめ)
大正8年(1919)8月9日東京市牛込区生まれ。旧制静岡高等学校を経て昭和17年(1942)9月東京大学医学部医学科卒。
軍医として二年間太平洋戦争に従軍。
昭和20年(1945)復員後東京都立駒込病院伝染病科に勤務し、専ら伝染病患者の診療に従事。昭和52年(1977)同院副院長。昭和54年(1979)退職。
現在、東京都城北福祉センターでホームレスの健康相談に従事。
医博。著書に『明治の避病院』。

著者あとがき:
 私が築地病院の歴史を書こうと思い立ったきっかけは、ある日、日本医師会の図書室で、「海軍奉仕五十年回顧録」という旧日本海軍軍医部の歴史を綴った冊子をめくっていた時に、偶々元海軍軍医中将平野勇氏の「海軍軍医学校と築地病院」なる一文との出会いであった…中略…
 軍人と政治家の「親交」という言葉に少なからず興味をそそられて調べだしたのが、この一文を書くに到った端緒であった…中略…
 両氏は共に東京大学医科大学出身の医学士で、且つ山根氏が二年先輩であったのである。山根氏は山口県出身で国会議員を永く勤めた、いわば医政家であり、本多氏は卒業後海軍に投じ、後に日本癌研究会の会頭に推された人物であるが…中略…
 これで本稿の発端が決まった。あとは史実に従って「施療病院」成長の歴史を書き進めるだけである。特に病院が完成して独り歩きを始めてからは全く事実に沿って記述を進めた。これにも前記の東京医事新誌と医海時報が大いに役立った。このような古い文献が保存されている図書館の存在は何物にも変えがたい知識の宝庫と云わなければならない。結局施療病院は、関東大震災後に建設されたほかの市立病院と同列の一般病院に変貌して、築地病院と改称したが、一九四五年にその活動を終えるまで日本海軍軍医部の教育機関としての性格が濃厚で、海軍はイギリスのセント・トーマス病院の日本版と考えていたらしい。私は一九四三年軍医学校在学中に夜中に急性虫垂炎を発して開腹手術を築地病院で受けたが、術者の当直高等科学生は私の右下腹部に極めて長大な皮膚切開を施し、長時間かけて盲腸を切除してくれた。私のおなかには、未だにその長い瘢痕が残っている。私は風呂に入るたびにその疵をさすりながら、私の青春時代を懐かしむのである。                

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