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パーキンソン病とうまくつきあう法
春原 経彦(春原内科クリニック院長) 著
A5、116p \1,200

意外に多い中年から発病する神経疾患。65歳以上では脳血管障害とほぼおなじ患者数。糖尿病の約半数。しかも意外に診断が間違いやすい。最適の日常生活をおくるために、パーキンソン病の診断、治療、そして最も大事なケアを、医学最前線の知識と数十年にわたる実地医療の経験があきらかにする。患者、家族必読の書。パラメディカルスタッフのかたも勉強して下さい。

はじめに
パーキンソン病と言えば、たいていの人が知っていると言っていいほど一般的な病名ですが、神経内科と言うと、どのような病気を扱う科なのか知っている人は少ないようです。パーキンソン病は、神経内科医が専門とする病気のうちでも、脳血管障害に次いで多くみられる病気です。 近年、医療の専門化と細分化は急速に進んで来ています。医療施設のなかで患者さんに接して直接治療に携わるのは、医師や看護婦だけでなく、ソーシャルワーカーや理学療法士、作業療法・言語療法士、さらに保健婦や栄養士、歯科衛生士、ヘルパー、リハビリを指導する人、食事療法を指導する人、介護する人など多くの専門分野に分かれています。また、福祉の面でお手伝をする方などもたいへん重要です。これらの治療や医療の分野に比べ、専門医学においてはさらに細分化、専門化が進んでいます。 こうしたなかで患者さんや家族の方々は、自分たちがどのような施設で治療を受けたらいいのか、あるいはどのようにしたらいいのか、混乱したり戸惑ったりしているというのが実情だと思います。 私は大学を卒業してから、大学病院、精神・神経の専門病院に勤め、もっぱら病院のなかにこもり、患者さんの治療と神経内科の研究に専念してまいりました。現在もそれらはなんら変わらないのですが、今から15年前頃より神経内科的疾患の相談や在宅医療などの病院外の医療の面で専門医の立場から参加させてもらっています。 ところで、病院での患者さんは、自分の一番よい顔を医師に見せたいと思っています。むろん、このことは一種のよい緊張関係でもあるのですが、患者さんが外来に来られるときは、家庭や社会のなかで生活しているような通常の状態ではありません。病院に来られるときだけは、きちんとしていらっしゃるのですが、家にいるときには座ったきりで下を向いていつも憂鬱そうにしているということを家族の方からよく聞きます。このように、病院外でいかに多くの人々が医療に携わっているかを、また、それらの人達によって医療が成立しているかを、病院外の医療に直接触れて、病院のなかだけでは分からなかったことを知ることができました。 在宅医療のなかで患者さんが、家族の方やヘルパー、訪問看護婦、訪問保健婦、ソーシャルワーカー、家庭医の方々に囲まれて、入院生活では考えられなかった笑顔でいるのを見たとき、私は、専門医としての役割、そしてそれぞれの職種の方々の役割を再認識し、患者さんを含めて理想の医療に少しでも近づける努力が必要だと改めて感じた次第です。 専門的な医学や医療が、患者さんの日常の医療から離れてしまってはなんにもなりません。また、患者さんや御家族の方々にとっては、日常の小さな問題や疑問は言うに及ばず、現在の最先端の専門領域についても知りたいというのがほんとうの願いだと思います。 パーキンソン病の治療をしていると、脳はいろいろな物質によって動かされていて、精神とか心といわれるものもこれらの物質によって左右されるもので、ときには、脳はこれらの物質によってとんでもないことを考えることがあるということがよく分かります。 しかし、脳などの身体の一部が病んでいても、脳のすべてが病んでいるわけではなく、健康な脳細胞がこれに打ち勝って、健康な精神や心を取り戻した患者さんを拝見すると、脳の偉大さ人間の尊厳さに感動せざるをえません。 しかし、病に飲み込まれてしまう患者さんも多くおられることも事実です。こんなときにいつも思うのは、「患者さんが自分の病気やその状態をしっかりと把握できていれば決して病に負けてしまうことはないのではないか」ということです。しかし、このパーキンソン病はなかなかの怪物で、その全貌を私たちに見せてくれません。その上、この病気を患者さんにしっかりと把握してもらうためには結構時間がかかります。医者でさえこの病気のことを教科書的には知っていても、実際にこの病気が少しは解ってきたかなと思うようになるには相当の時間(経験)がかかります。こういう私にしても、患者さんがどのようにこの病気を克服していらっしゃるのかを診療のなかで見させていただいたことによって、ほんとうの勉強をさせていただいたのです。 パーキンソン病に打ち勝ち、この病気とうまくつきあっておられる患者さんのことを、今悩んでおられる患者さんにお知らせできるのは、実際にこれらの患者さんを診療している医者しかいないのではないか、また、患者さんに知っていただくためにはどうすればよいのだろうか、そこで、この本を書いてみようと考えたわけです。 パーキンソン病の患者さんが、自分の病気はどのような病気で、自分の病気はどのような状態にあるのか、そしてどうすればよいのか、これらの問にお答えしたいという思いでこの本を作成してみました。そうはいうものの、そう簡単ではありませんでした。しかし、少しでも患者さんのお役にたてれば筆者としてこれに勝るものはありません。 この本は、現在一番知りたい事柄からお読みになれるように工夫したつもりです。そのため各頁の左に、前後の参照する関連頁を示し、また参考個所を(ヌ)で示しました。あちらこちらと頁をめくって、指の運動、そして脳の運動をしてください。それが病気のためにも大変よいことなのです。しかし、最終的にはすべてを読んでいただきたいと思います。


「医療タイムス」新刊案内より

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